この間、ヴィレッタさんから映画のチケットをもらったんだ。
僕たちって、同棲してて毎日一緒にはいるけど、学部が違うから結構時間があわない&僕のバイトがわりと忙しくて、デートというのがあまりできない。
いや、まあ…週末に買い出しに一緒に出かけたりするのは、僕にとっては、デートの一部ではあるんだけど、ちゃんとした意味で考えると、もうちょっと、ね。
ヴィレッタさんが珍しくにこにこしながら、「いつもジェレミア卿の嫌みに我慢しながらよく働いてくれて感謝している。お前たちにぴったりの映画のチケットをプレゼントだ」っていいながら、そのチケットをくれた。
袋にはリボンまでかけてあって…僕は感激したよ。
バイト代はもらってるわけだから、そのほかの見返りを期待してるわけじゃないけどさ、でも、認めてもらえるのってすごくうれしいじゃないか。
だから、僕は、チケットを大事に大事にしまっておいて、ルルをデートに誘ったんだ。
ルルはすごく喜んでくれて、手をつないでもいいかっていう僕のわがままにも、快く応じてくれた。
ポップコーンは、キャラメルと塩、両方かおうね、なんてはなしながら、映画館につき、チケットを取り出してみたら…。
なんと、ルルの大嫌いな、スプラッタ系のホラー映画で…(汗)
なんで先にチケットを確かめなかったんだ!とすごく怒られた…。
なら、隣でやってる恋愛映画を見ようといえば、「あいつの挑戦に負けるのはいやだ」とかなんとかいって、無理矢理…。
映画は、超スプラッタで、最初から飛ばしまくりだった。
ルルがそういうの苦手なの僕は知ってるから、途中で出ようっていったんだけど、「絶対やだ」ってきかなくて、真っ青な顔して(暗くたって、ルルの顔だけはよく見えるよ!)ぎゅっと目を閉じてて、もう心配で仕方なかった。
手が震えてるから、握ってあげると、爪をたてられたりして、僕もさんざんだった。
ようやく映画がおわり、外に出てみると、やっぱりルルは具合悪そうで。
タクシーで急いでマンションまでかえろうと思ったんだけど、ルルがマンションにかえられなくても休めるところがあるって…。
その…ラブホテルを…。
僕ってばかだから、思わず期待しちゃったりして…。
でも、ルルは具合悪いんだし、休むだけだからって自分に言い聞かせて、中に入った。
けど、部屋に入るなり、ルルが抱きついてきたりするから、つい暴走して…。
具合悪いのにごめんね、と終わった後に謝ったら、頭をたたかれた。
「当たり前のことなんだから、謝るな」って。
デートっていったから、ルルもちょっと期待しててくれたんだね。
かわいいな。
結果的には…まあよかったんだけど、ヴィレッタさんのいたずらはちょっとひどいよな。
問いつめるか否か…。
どうせ、扇さん関連なんだろうけど。
新作ケーキで許してあげてもいいけど…。