ふんっ！

ジェレミアのぼやきならぬ、ヴィレッタのぼやきです。

枢木の奴、生意気だ。
あいつは、いつでも「僕のルルがかわいくて〜」とか、るるるるるるるる、うるさくて仕方ない。
いつもニコニコ、スマイル0円なのは、店員としては望ましいが、個人的にはいらつく。

だいたい、なんで、あいつばかりが幸せなんだ！
私が、せっかく勇気をだして、扇さんを映画に誘ったというのに…。
あっさり、「仕事が忙しくて今時間がとれない」と断られて悲しい思いをしているというのに…。

許すまじ、枢木。
どうしてくれよう、と思った矢先に、ルルーシュがホラー映画が大の苦手なのだという情報を得た。
これは使える。

私の手もとには、ホラー映画。それも、スプラッタの巨匠の新作映画のチケットが二枚。
なんと好都合。

店の備品をつかって、美しくラッピング。
枢木に、笑顔とともに渡してやった。
あいつは、基本的にお人好しだから、目を潤ませて受け取ったさ。
しかも、「きれいなラッピングだから、ほどくのもったいないですね」ときた。
そうだろう。あいつがそういうように、わざとゴージャスにラッピングしてやったんだから。

だから、私はさらにいってやった。
「多少のサプライズがあった方が、デートは盛り上がるぞ」と。

ふ…この目で見られなかったのは残念だが、ルルーシュのやつ、さぞかしおこったことだろう。
枢木も、今日は幸せオーラ満開というわけにはいかんだろう。
たまには、そのくらいの薬は…。

ん？
なんだ、あいつ。
…いつにもまして、肌のつやがいいのは、私の気のせいか？？
いったいどうなってるんだ。映画にいかなかったのか？
よし、ちょっとばかりしめて…って、え？　扇さん？

これを私にプレゼント？
映画を断ったお詫びに…？

ああ、もう！
枢木のことなどかまっていられるか！