かわいいなあ！

動じないスザクはある意味大物。

最近、ジェレミアさんは、クリスマスケーキの試作品の構想を練っている。
去年は、「白」がテーマだったから、今年は、「黒」がテーマなんだという。
どういうきっかけで、テーマを決めているのかよく分からないが…。

黒、ということで、今年のクリスマスケーキの食材は、黒ごまだと黒蜜だのと和風のものが多い。
僕の個人的意見としては、普通の生クリームのケーキが一番当たり障りがなくていいような気がするのだが、自称天才パティシエのジェレミアさんには、彼なりのこだわりがあるらしい。

和風とは別に、食材として注目されているのが、チョコレートだ。
ギンザあたりに、高級チョコレートをあつかったショップが増えていることから、どうやらそれに対抗しているようだ。

そんなわけで、最近、店で試作品を食べさせられることが多かったんだけど、チョコレートばかり食べてたら、さすがに刺激が強かったらしくて、あごにニキビができてしまった。

赤く腫れちゃって、ちょっと痛いけど…放っておけばそのうちなおるかな〜とあまり真剣に考えていなかった。

そうしたら、ルルが心配して薬を買ってきてくれたりするからうれしくて。
でも、考えてみたら、あごにできるニキビって、思われニキビなんだなあと思ったら…。
ああ、そうか。
ニキビ一つでもこんなに心配してくれるルルがいるから、だから、ニキビができちゃったんだって、そう思ったんだ。
そう思ったらもったいない気がして…。そう言ったら、なんだかルルが不機嫌になった。

すねちゃって、口きいてくれないから、聞き出すのに苦労した。
そしたら…「思われニキビだとか思いニキビだとかいうなら、俺にもできててもおかしくないのに…」って。

かわいいなあ、ルルは！
僕にだけできてるから、ルルいがいの誰かほかの人の思いがニキビに出ちゃったんじゃないかって、そんなこと心配してるんだから。

そんなふうにいわれたら、早く治さないわけにいかないよね。
ルルが買ってきてくれた薬をつけようと思ったけど…その前に、「もし、誰か別の人の思いが出ちゃったって、ルルが思うなら、消毒してくれる？」っていってみたんだ。

そしたら。
顔を真っ赤にして、「一度だけだぞ」って。
薬を塗る前に、ニキビのところにキスしてくれた！
役得！

もし、ルルにだけ、ニキビができたら、僕がいっぱいキスしてあげなくちゃ。